Lexar NM790 NVMe SSD をレビュー
MicronからLongsys傘下の中華ブランドとなったLexarが発売しているPCIe4x4 NVMe SSD NM790 2TBを購入したのでレビューします。
このSSDは巷で話題の高速中華SSDの一種で、同等品だとすれば性能はHIKSEMI FUTUREでほぼ証明されています。
なぜ巷で話題になっているのかは、簡単に言うと諸事情により格安SSDにハイエンド部品が使われているから。
お小遣いゲーミング部としては非常に助かる製品です。
そんな折、カメラをやっていたら見慣れているであろうLexarブランドのSSDがあったので購入してみました。
Lexar NM790のスペック
Lexar NM790 NVMe SSD | ||
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型番 | LNM790X001T-RNNNG | LNM790X002T-RNNNC |
容量 | 1TB | 2TB |
フォームファクタ | M.2 2280 片面実装 | |
インターフェイス | PCIe Gen4x4 NVMe 1.4 | |
コントローラ | MaxioTech MAP1602A TSMC12nmプロセス ARM 32-bit Cortex-R5 シングルコア 4ch 2,400 MT/s | |
NAND | YMTC 232層 3D TLC NAND Xtacking 3.0 (EET1A) 2400MT/s | |
DRAM | 無し | |
SLCキャッシュ | 有効(容量非公開) | |
HMB初期値 | 32MB | |
読み込み速度 シーケンシャル | 7400MB/s | |
読み込み速度 ランダム | 1,000,000 IOPS | |
書き込み速度 シーケンシャル | 6500MB/s | |
書き込み速度 ランダム | 900,000 IOPS | |
TBW 書き込み寿命目安 | 1000TB | 1500TB |
MTBF | 150万時間 | |
保証 | 5年 | |
ファームウェア※2023/6時点 | 11296 |
YMTC 232層 NAND とは?
中国のYMTC 長江存儲科技 が世界で一番最初に製品化した、232層 3D TLC NAND Xtacking 3.0 チップです。
本来232層NANDはPCIe5.0 NVMe SSDに使われるようなハイスペックなパーツで、同じくMicronも232層製品を出していますが、PCIe5.0対応2TBだと6万円以上というレベルのものになります。
こんなハイスペックな部品がなぜGen4.0x4の格安SSDに使われているのか。そこには事情があるようです。
記事から推察すると、アメリカの制裁によりAppleのiPhone14で採用される予定だった128層NANDだけではなく、先を見越して開発から量産化を済ませていた232層 3D-TLC NANDまで行き場を失ったことによって格安SSD等に転用されているのでしょう。
Lexar NM790 簡易ベンチマーク
お小遣いゲーミング部 テスト環境 | ||
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CPU | AMD RYZEN 7 5800X3D | |
マザーボード | ASUS ROG STRIX X570-E GAMING WIFI | |
メモリ | DDR-4 3733OC CL14 16GB | |
グラフィックボード | ZOTAC RTX 2070 8GB | |
SSD | Lexar NM790 | |
電源 | CORSAIR RM750x | |
サウンド | MOTU M4 | |
ケース | NZXT H510 Elite | |
CPUクーラー | NZXT X62 | |
モニタ | LG 34WP65C-B 34インチ 3440×1440 160Hz | |
OS | Windows11 Pro 64bit |
CrystalDiskMark8
メーカー公称値を上回る結果となりました。
価格に見合わぬぶっ壊れです。
中華製品はたまにこういうのがあるから面白い。
挙動からみるにHiksemi Futureとほとんど同じように見えます。
ランダムアクセスはPCスペックによっても左右されるので、使用環境によってはRND4K Q1T1 R:90MB/s W:300MB/s 程度まで伸びるはず。
AS SSD Benchmark
ファイナルファンタジーXIV 暁月のフィナーレ ベンチマーク
FF14ベンチのローディングタイムは6.937秒
6秒台。ハイエンドPCユーザー達が出すスコアを格安SSDで達成できました。
これ以上求めるのであれば、Intel OptineかGen5 SSDになると思います。
ちなみに交換前は
CFD Gaming PG3VNF M.2 NVMe SSD 500GB CSSD-M2B5GPG3VNF
という物を使っていて、これもGen4x4のSSDですが、FF14ベンチのロード時間は10秒くらいでした。
つまり同じNVMe Gen4 SSDでありながら3秒も短縮されたことになります。
※追記 2023/7/2
グラボをFF14ベンチが不得意なRX7900XTXに変更しました。
ウルトラワイド3440×1440のベンチですが、ローディングタイムが6.587秒とさらに短縮されました。
実際のエリア移動時読み込みの様子を動画におさめてきました。
本当は比較出来ればよかったのですが。
FF14のロード時間をPS5で検証してる方もいるのでYouTubeで探してみてください🙇♀️
動作時温度
SSDに貼られたシールの上から、マザーボード付属のヒートシンクを取り付けています。
アイドル時
48度 PC起動後10時間程度経過
高負荷時
63度 上記アイドル状態からCrystalDiskMark8 64GiBを5周走らせた温度
Maxio+YMTC232L の組み合わせは5W以下の消費電力みたいなので低発熱。
ちなみにマザーボード付属のヒートシンクはただのアルミ板のようなものです。ヒートシンクなしでもいけそうですね。
弱点
膨大なランダムファイルの読み書きで速度が低下する
欠点として、DRAMレスのせいなのかコントローラが4chのせいか、CrystalDiskMarkを64GiBで走らせると、前情報通りランダム速度が低下。
膨大な多数のファイルをやり取り(Cドライブを丸ごとコピー等)する用途には不向きですが、普段使いや特にゲームには問題ないと思います。
今後も供給されるとは限らない
現状使い道がない状態なのでこういった格安SSDに使われていますが、製造が高コストなため、在庫が尽きた後も供給される可能性は低いように感じます。
いつの間にか仕様が変わっているということが当たり前に起きるので注意が必要。
最安値とYMTC232L一族
他のMaxioコントローラ+YMTC232層NANDの一族も紹介しておきます。
価格はその時々のキャンペーンやクーポンで競うように変動するので見ておいて損はないです。
ただ注意してほしいのがAmazonの同一ページ内の選択肢にDRAMキャッシュ付きがあること。
そちらはだいたいInnogrit IG5220コントローラ+YMTC128層NANDの組み合わせです。
YMTC232層NANDの物が欲しい場合はDRAMレスの物を選択してください。
ヒートシンク付きの物も注意したほうが良いです。
本来DRAM搭載のほうが良いのですが、ぶっ壊れNANDのせいで逆転現象が起こってますね。
前述のとおり、現在YMTC232層採用の物も、いつ部品がサイレントチェンジされるかわからないので、ガチャな部分はあります。一応今のところ(2023/6/23)は大丈夫なようです。
HIKSEMI FUTURE
同じコントローラ+NANDを使用しているのにHiksemi FutureだけTBWが3600TBとなっています。
本来それくらいの耐久性があるということなのか、独自の何かがあるのか、選別品なのか理由は不明。
Monster Storage MS950G75PCIe4-02TB
なお、Monster Storageには4TB版も存在し、YMTC232層チップ搭載が確認されています。
ただ4TB版は若干速度が劣るようですね。それでも価格破壊だと思います。
Monster Storage MS950G70PCIe4-04TB
Acclamator N70E
Hanye HE70
まとめ
膨大にまとまったファイル群の一括コピーなどのやり取りが苦手ですが、2TBを1万円ちょっとで買えてゲームのロードはお世辞抜きのGen4トップクラスと思えば買いでしょう。
中華製ということもあり、実際のところの耐久性など不安な面もありますが、OneDriveを使った設定のバックアップ等、OS再インストールの手間も減っているので、主はガンガンメインPCのCドライブに使っています。
そうでない方、やっぱりメインに中華SSDは不安、問題が起きた時の対処方法がわからないという方は素直に有名メーカーのSSDを選びましょう。
Seagate FireCuda 530
間違いなく安定して速いです。
以上、Lexar NM790のレビューでした。